コラム

某学園内で石庭造りのお手伝いをさせて頂きました。私の記憶では20年くらい前から構想があったとおききしております。まだまだ駆け出しの頃、庭石を運搬して仮置きした記憶が甦ります。

いよいよ造園がスタートする!皆さんのそれぞれの想いが一つになってそれを形にする!これだけでもうワクワク!と、同時に今回は応援ではありますが、強い責任感を感じました。

石で物語を作らなければなりません。何ともまぁ難しい事です。石には「顔」があって、表に向けたりあえて裏に向けたり…。その表情をくみ取るのは人それぞれ違いますが、同じ石は無いといっていいほど多様で面白い。時間が経つのを忘れてしまうほどです。

親方の采配でパッパッと今回使う石が選ばれていきます。実はこの「選ぶ」というのは経験がないとモタモタして何時まで経っても選び抜けません。それに頭の中でちゃんと完成のビジョンが見えてなければ、自然物を扱うことが出来ません。特に重量物を扱うときは細心の注意を払わなければ、代償は自分に返ってきます。

運搬中にも石が動かないように 積み込みにも注意が必要です。

私たちのトラックでは到底運べない6tもある石はラフタークレーンとトレーラーに協力して頂いて運んでもらいました。

石と対話する庭造り
石と対話する庭造り
石と対話する庭造り

玉掛け専門で職人さんも来ていただいたし、この6tもある石の所定までの運搬はさすがに近寄れないなぁと。「昼間のパパはいい汗かいてるぅ」ってな感じ!僕は違う汗をかきました(笑)

石と対話する庭造り

大きな石を動かしているとどこからともなく人が集まります。これはいつも不思議だと思います。実際の所危険な作業ですので近寄って欲しくありませんが、建築でいういわゆる「建前」的なもので一種の祭りごとなのではないかと思います。メインの景石が何石か据えられて、親方はクライアントに世界観を説明します。

石と対話する庭造り
石と対話する庭造り

石庭では砂利の部分を「海」と表現しますが、今回の6t石を舟に例えて、その先に小さな石を親子船の子に例えてあるそうです。そしてその親舟は生徒を見守る母船。(学校)さらに行く手には滝に見たてた大きな景石。
手前には島が一つあり、左へ舵を切ると荒々しい海が待ち受けているが、右へ舵を切ると穏やかな海がまっている。母船はそのかじ取りの方向を温かい目でみまもっている。先はいずれひとつなのだから。

日本庭、特に石庭は見る人によって感じ方は様々ですが、こうやって作庭に一から参加できたことは人生にとっていい経験だったと思います。
石を見る経験者と人生観。それによって生まれてきた石庭という空間。
社寺仏閣、町家でお庭が大事に守られてきたのが、少し理解できたかなと感じました。

石と対話する庭造り
石と対話する庭造り
石と対話する庭造り

最後の仕上げの砂利敷均し作業を若手に任せてやってもらいました。私たちは裏手に回りその作業の醍醐味を感じてもらえたら嬉しい限りです。私もそうやって育てていただいたのですから。

石と対話する庭造り
石と対話する庭造り
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Takefumi Ueki

Takefumi Ueki

植木威文(造園家、一級造園技能士) 2010年から植威の代表として、京都・滋賀を中心に日本庭園はもちろん、イングリッシュガーデンの考え方を取り入れたローメンテナンスで自然な風景の庭の施工や、庭園管理を行っている。 趣味はディジュディドゥ(世界最古の木管楽器と言われている)演奏、山菜採りなど。