コラム

竣工祝いの寄せ植えの植木鉢依頼です。
建物の設計者であるアトリエプラスさんが建物の階段室を一部緑化したいということで、階段室を格子を上がっていく植物を提案させていただきました。
絡んだり上っていく植物は色々ありますが、あまりに勢力が強いものはあとでトラブルの原因となってしまいがち。
なので、蔓が大きく太って巻きつく系や、吸盤をキツく出すもの、隙間に入って中で繁殖するものなどなど。(例えば、フジ、ノウゼンカズラ、蔦、ワイヤープランツ…)
例に挙げたものはどれもそれぞれキレイですが今回はちょっとごめんなさいして、選んだのは、ムベ、テイカカズラです。
低木や下草類は、コンフーサ、フッキソウ、ギボウシです。ギボウシだけは宿根草であとは常緑です。
テイカカズラは5〜6月に沢山の花を咲かせてくれるでしょう。大きくなれば見応えたっぷりです。
ムベは落葉のアケビに似た葉っぱで同じくアケビそっくりの実がなります。食べれないもので観賞用になりますが、今回は実がついてました‼️植栽が終わるまでなんとか落とさずに納品出来てホッとしてます。
花が咲いてる時とか実がついているときはかなり慎重に作業しますが、それでも落ちてしまう事もあります。今回はやったね!

竣工祝いの鉢植え植栽(壁面緑化)~看護小規模多機能型居宅介護施設と住宅型有料老人ホームの植栽~
▲ ムベの実

現場に到着してまず植栽位置を確認。
全部植えてからの移動は重量あり大変なので、設置位置は念入りにお聞きします。
土を扱いますので、床を汚さないためにも必ず養生をします。
まず、鉢を仮に置いてみます。

竣工祝いの鉢植え植栽(壁面緑化)~看護小規模多機能型居宅介護施設と住宅型有料老人ホームの植栽~
▲ 大型鉢を床に置いただけ

いつも思いますが、大きい鉢は存在感ありますが、それだけでは勿体ないといいますか、ちょっと手を加えたらもっと効果があるんじゃ無いかと思って以前グリンバル(植威プロデュースのお店)の表に置いていた感じで、自然石を鉢の下に組みました。床の水勾配を解消し、鉢を水平に置く為の役割としても有効です。
普通レンガなんかでチャチャっと終わらせてしまいがちな所にあえて手間のかかる事をする。なんの為かっていうとズバリ!デザインです!

もう既にいい感じ。 これが仕上がった時に凄い効果があるんですよ!後に比べてみてください。

竣工祝いの鉢植え植栽(壁面緑化)~看護小規模多機能型居宅介護施設と住宅型有料老人ホームの植栽~
▲ 石を組んで浮かせている。水捌けが良くなり、床の水勾配の解消も格好良く出来る。

鉢の定位置作りが終わったら、次は鉢の中の穴を土が流出しないために、
水を通す防草シートで代用します。小さなネットでは大型の鉢にはちょっと合わないと思って、底の面積が広いタイプの鉢はいつも防草シートを使います。
鉢底の石を入れて敷きならしベースとなるマサ土をいれ水捌けが良いように木炭を入れます。殺菌効果もあります。
第1段の底に近い方はパーライトも入れます。経年で土がガチガチにならない様に。
土が固まってくると、水をあげても中々浸透せず根腐れになってしまいますので。
表層の方は、ベースのマサ土とバーク堆肥、赤玉。割合は有りますが、この時肥料系は入れない方が良いですね。
植えたてホヤホヤの土に馴染んで、根付いて栄養が欠如してから初めての追い肥です。
植えたてで肥料系が有ると新しく出た弱々しい根にはキツ過ぎて、やられてしまいます。
腐葉土位が十分でしょう。

地植えでも勿論そうですが、特に植木鉢の場合は植物に合った環境を作ってあげないと、つまりただ土入れて植栽してハイ終わりってな感じだと、下降線まっしぐらです。

竣工祝いの鉢植え植栽(壁面緑化)~看護小規模多機能型居宅介護施設と住宅型有料老人ホームの植栽~
▲ 地味だがまずは大切なのが土づくり

さぁ!下準備オーケーです。
楽しい植栽の時間がやってきました。
でもここが一番の見せ所。なんたって一番見られる所です。
みんな土の中まで掘り起こして見ないですからね!(長い目で見た時にすごく重要なんですけどね!)
植栽は楽しいですよ!
何年も植木を植栽してきましたが、どんなものにも顔があって、それを一番有効な所へ向ける!ただそれだけなんですが、わざとちょっとひねってみたり、あるいはそれ自体を傾けて勢いをつけてみたり、まあ奥が深いです。この鉢に世界を作るわけですから、生かすも殺すも腕次第ってなワケです。
まぁそんなウンチクはさて置き、蔓系は長尺で一個一個誘引していかないと、こんがらがって訳が分からなくなりブチブチ切ってしまいそうなので、丁寧に心を鎮めて作業しました。

竣工祝いの鉢植え植栽(壁面緑化)~看護小規模多機能型居宅介護施設と住宅型有料老人ホームの植栽~
▲ 蔓は丁寧に脚立に上って誘引していく

全ての植栽が終わると、帰ります!っていいたい所ですが、まだ仕上げが残っています。
植栽の間の土の部分は結構雨の跳ね返りで周り汚れるんですよね。それで化粧としてチャート(山石)を敷き入れます。
雨のしぶきの跳ね返り予防と乾燥予防にもなります。あともう一つ効果があるものがあるんですが、分かりますか?

猫です!!
乾いた砂や土があると糞やオシッコをしに来ます!
せっかくおしゃれに植栽した鉢植えも猫にとったらパラダイス!!
滋賀からわざわざ野良猫の高級公共トイレを設置してやったようなもの!!
特に街中では土の部分が非常に少ないため、花壇のような場所は恰好の場所となります。
猫は糞尿を隠す習性があるので、チャートで土を隠し、砂や土が引っ掛けない状況を作ってしまえば、かなりの予防になります!
なんか水しぶきと乾燥より熱く語ってしまった…。

竣工祝いの鉢植え植栽(壁面緑化)~看護小規模多機能型居宅介護施設と住宅型有料老人ホームの植栽~
▲ 植栽の後にチャートを敷き詰めている

さあ、土の作業の為養生していたシートも片ずけて、きれいに周りも掃除して一連の鉢植え作業は終了します。
初めに鉢の下に自然石を入れたのがグンっと引き立ちます!そのまま直接置いてあるのと全然違うのが分かりますか?ちょったしたアイデアで違うものに見えませんか?
水捌けの為にちょっと底上げ、レンガやブロックで済まされそうな所をあえて遊んでみる。
人生遊びが必要だ!
庭にも遊びが必要です!
ちょっとしたことで変わるんです!

施工中、通りがかりの沢山の人が見ていってくれて、「これええなぁっ」と声をかけて貰いました。(大阪の人は、本当に気軽に声を掛けて来てくれます・笑)また、施設の館長さん、アトリエプラスさんにも喜んで頂けたようでとても嬉しいです。

そう言うお声を励みにして、ちょっとした事にこだわっていこうと思います、これからも!
竣工おめでとうございます!

竣工祝いの鉢植え植栽(壁面緑化)~看護小規模多機能型居宅介護施設と住宅型有料老人ホームの植栽~

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Takefumi Ueki

Takefumi Ueki

植木威文(造園家、一級造園技能士) 2010年から植威の代表として、京都・滋賀を中心に日本庭園はもちろん、イングリッシュガーデンの考え方を取り入れたローメンテナンスで自然な風景の庭の施工や、庭園管理を行っている。 趣味はディジュディドゥ(世界最古の木管楽器と言われている)演奏、山菜採りなど。